ハラスメントは減っていない

前回、職場でのストレスが変化しているということを

ご紹介しました。

具体的には、ストレス要因としての「人間関係」が

ここ10年ほどで

1位から4位に低下したというものです。

それでは、パワハラやセクハラをはじめとする

職場のハラスメントは本当に減少したのでしょうか?

厚生労働省の調査「令和3年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によると

民事上の個別労働紛争における

「いじめ・嫌がらせ」の件数の推移は下のグラフの通りです。

減っているどころか、右肩上がりで増加しています。

このことから、職場におけるハラスメントは

現在も増加の過程にあると言えるでしょう。

それでは、なぜ職場のストレス要因で

人間関係が1位から4位に下がったのか?

これは推測ですが、

職場における業務負担の変化が

影響しているのではないかと考えます。

前回ご紹介した調査では、

直近のデータとして「人間関係」に代わり、

「仕事の量」「仕事の失敗、責任の発生等」が

上位を占めていました。

それだけ、各人の業務負担が重くなり、

皆が自分の仕事をこなすことでいっぱいになってしまい、

その周囲にある人間関係にまで

注意が向かなくなったのではないかと考えます。

実際には「いじめ・嫌がらせ」の件数は

大幅に増加しているのですが、

それをストレスと感じていられないほど

目の前の仕事に苦しんでいるという

ことではないでしょうか。

だとすれば、これは非常に不健全な

状態だと言わざるを得ません。

本来なら重要な問題であるはずのハラスメントが、

業務負担増によって覆い隠されてしまっているのでは

ないでしょうか。

このように、ストレス要因としての「人間関係」が

数字上低下したことで、

職場におけるハラスメントの問題が

減少したかのように思われがちですが、

実際には著しく増加しているということを

忘れてはいけません。

私たちがはたらく職場が

健全なものであるために、

このような事実を見過ごすべきではないと

考えました。

簡単ですが、今回はこの辺にします。

ご意見やご質問など、お聞かせいただければ幸いです。

2024年2月27日 | カテゴリー : ストレス | 投稿者 : kishida

はたらく人のストレスの変化

このサイトでは、
はたらく人のカウンセリングを行っています。

はたらく人のお悩みをお伺いし、
一緒に解決方法を考えているのです。

それでは、実際にはたらいている人は
何に悩んでいるのでしょうか?

厚生労働省の「労働者健康状況調査」によると、
2012年の調査結果では、
「仕事や職業生活でストレスを感じている」方は
全体の60.9%でした。

その内訳をみると、
上位から

人間関係(41.3%)
仕事の質(33.1%)
仕事の量(30.3%)

となっていました。

男女を問わず、人間関係が
一番の悩みごととなっていたようです。

それでは、直近はどうでしょうか?

同じく厚生労働省の「労働安全衛生調査」によると、
2022年の調査結果では、
実に82.2%の方が仕事や職業生活で
ストレスを感じているという結果になりました。

10年前と比較して20ポイント以上増加しています。

もはや、はたらく人のほぼ全員が
ストレスを感じながら働いていると言えます。

今の日本では、ストレスを感じずに
はたらくことは極めて難しいと
言えるのかもしれません。

それでは、内訳はどうでしょうか。

同調査では、上位から

仕事の量(36.3%)
仕事の失敗、責任の発生等(35.9%)
仕事の質(27.1%)

となっています。

10年前にワースト1位であった「人間関係」は
26.2%で第4位でした。

この変化からどのようなことが言えるでしょうか?

次回以降、私なりに考えてみたいと思います。

2024年2月20日 | カテゴリー : ストレス | 投稿者 : kishida

休職中の生活のために・精神通院精神障害者医療費助成事業

うつ病についてのコラムは前回で一区切りと言っていましたが、
通院の医療費を軽減できる施策がもう一つありましたので
ご紹介することにします。

今回ご紹介するのは「精神通院精神障害者医療費助成事業」です。
とても長い名前ですが、自治体によって名称が異なります。
「精神障がい者通院医療費助成」などと呼ばれる場合もあります。

自治体によって助成の内容は異なりますが、
大まかに言うと下記の通りです。

対象となる医療費:自立支援医療で支払った通院医療費
対象となる人:国民健康保険加入者 など
助成される金額:自己負担(1割負担)した医療費の一部または全部(自己負担上限額まで)

但し、国保以外の健康保険については、
被扶養者は対象となりますが、被保険者は対象となりませんので
注意が必要です。
また、生活保護を受給している人も対象とはなりません。

申請には、医療費の領収書のほかに自己負担上限額管理票なども
必要となります。
管理票は診察の都度、書いてもらうことが必要ですので
ご注意ください。

この制度が利用できる場合は、
自立支援医療で1割負担となった医療費がさらに助成されるので、
事実上、医療費を0.5割負担もしくは無償にすることができます。

うつ病などで仕事を辞めたりすると、職場の健康保険を脱退して
国保に加入する場合もあるでしょうから、
そういう場合には非常に有効な制度となります。

仕事を辞めると経済的な不安が大きく、
医療費の負担も大きくのしかかります。
お住まいの自治体にこのような助成制度があるかどうか、
確認してみてもいいのではないでしょうか。

現在通院中でこの制度を利用していない方は、
ぜひ活用をご検討いただければと思います。

この文章が、困っておられる方のお役に立てば幸いです。
ご意見、ご感想などお待ちしております。

うつ病とカウンセリングの関係

うつ病についてのコラム、今回で一区切りにしようかと思います。

そこで、今回はうつ病とカウンセリングの関係について

思うところを書いてみようと思います。

現在、わが国ではうつ病の治療手段としてのカウンセリングは

まだ一般的であるとは言い切れません。

心理士によるカウンセリングや医師による心理療法よりも

薬物療法が第一の選択肢になっているのが現状です。

しかし、欧米諸国ではカウンセリングが第一の選択肢になることも多く、

治療効果をあげているとの声も多く聞かれます。

それでは、うつ病に対してカウンセリングは

どのように働きかけることができるのでしょうか?

最初に考えられるのは、失われた自己肯定感を回復するということです。

うつ病では自己肯定感が失われ、自責の念にかられるようになってしまいます。

カウンセリングで自分のことを客観的に見つめなおすことにより、

自分の長所や成し遂げたことの足跡を客観視することができ、

この失われた自己肯定感を取り戻すきっかけにすることができると言えます。

また、話を聴いてもらうことによるカタルシス効果もあげられます。

うつ病に至るまでの段階で、本人の心にはさまざまなストレスが溜まっています。

それらをカウンセラーの前で吐き出すことで、心が浄化されるのです。

そしてレジリエンス向上の効果もあると言われています。

レジリエンスとは、心に備わる抵抗力のことです。

カウンセリングを受けることでレジリエンスが向上し、

ストレス耐性が上がると言われているのです。

このように、うつ病に対してカウンセリングは

有効に作用するということができます。

但し、カウンセリングを受ける際には注意点もあります。

カウンセリングの中では、

自分と深く向き合い、内省する過程が発生します。

これは大変疲れる作業であり、

うつ病による心身の疲労が激しい状況下では、

症状を増悪させることにもつながりかねません。

よって、うつ病でカウンセリングを受ける際には、

主治医とよく相談し、

自省や内省に耐えられる体調になってから受けるようにしてください。

そうすることで、上記のような効果が期待でき、

うつ病の治療に役立つものと信じてやみません。

この文章が、困っておられる方のお役に立てば幸いです。

ご意見、ご感想などお待ちしております。

うつ病で太る!?

久しぶりの更新となりました。

今回は、「うつ病で太る?」ということについてご紹介します。

以前にも書いたことがありますが、うつ病の症状には「体重の著増減」があります。

一般的にイメージされるのは食欲減退による体重減少だと思いますが、

逆に体重が増加するケースもあるのです。

その内容について以下の通りご紹介していきます。

まずは抗うつ剤の影響です。

抗うつ剤を服用すると、うつ病で減退した食欲を補うべく食欲が増進されることがあります。

その結果、食事の量が増えて体重が増加することがあるようです。

また、抗うつ剤によって代謝が低下するということもあるようです。

うつ病で生じる不安感や焦燥感を改善するため、

副交感神経優位になるよう脳内の伝達物質に働きかけますが、

その結果として身体の代謝が下がることがあるようです。

そのため、太りやすく痩せにくい体質になってしまうことがあるようです。

そして、うつ病による活動意欲低下のために

運動量が減少するということも原因として挙げられます。

うつ病では心身のエネルギーが枯渇してまともに動けなくなってしまいます。

その結果、運動量が著しく減少し、それが太ることにつながるというものです。

このように、うつ病には体重減少ではなく体重増加という側面もあることを

ご理解いただければ幸いです。

現に、私自身も半年足らずで15kgの体重増加に苛まれ、現在も減量に苦しんでいます。

「うつ病なら痩せるはずだ」「太るのはうつ病ではなく甘えだ」などという

心無い言葉がなくなればと思ってやみません。

この文章が、困っておられる方のお役に立てば幸いです。

ご意見、ご感想などお待ちしております。

うつ病で服用する薬について

うつ病になって医療機関を受診すると、

ほとんどの場合、何らかの薬を処方されることになると思います。

ただでさえ不安な中、

出された薬がどのようなものかわからないとますます心配になってしまうかもしれません。

そこで、今回はうつ病の時に処方されることが多いお薬について簡単にご紹介します。

処方されることが多い薬は、大きく三種類と言えます。

抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬です。

抗うつ薬は、うつ病治療の主役ともいえるお薬です。

脳内物質のセロトニンやノルアドレナリンに作用して、

気持ちを穏やかにさせたり、意欲を高めたりします。

抗不安薬は精神安定剤とも呼ばれます。

文字通り不安な気分や焦燥感などを和らげて心が穏やかになる作用があります。

睡眠薬は、入眠不良や中途覚醒といった睡眠障害を改善するためのお薬です。

作用によって、短時間型、長時間型などの種類があり、睡眠障害の状態に応じて使い分けられます。

自分の処方された薬がどれに該当するかは、

処方時に渡される明細書に薬の効能が書いてあるので、それによって知ることができます。

「薬漬け」になってしまうのではないかと心配される方もおられるかもしれませんが、

基本的には医師の指示に従って服用していれば大丈夫です。

また、以前にも書きましたが、よい医師ほど薬を少なめにして治療してくれることが多いです。

薬を飲むのが不安だからと言って、

自分の判断で勝手に量を減らしたり飲むのを止めたりしてしまうと、

離脱症状(薬を急に止めることによる副作用)が起こったりして危険です。

どうしても心配な場合は、医師に相談して、その指示の下で徐々に減薬するようにしましょう。

以前にも書きましたが、うつ病の治療には十分な休養と並んで、

心理療法・薬物療法が有効です。

いたずらに薬を忌避せず、適切に服薬することも治療のためには必要です。

そのうえで、カウンセリングなどの心理療法も併用するとよいでしょう。

この文章が、困っておられる方のお役に立てば幸いです。

ご意見、ご感想などお待ちしております。

うつ病と気候・冬季うつ

来週から急激に寒くなるようですね。

これまでは比較的暖かい日もありましたが、

気温の乱高下で体調に影響が出ている方も多いのではないでしょうか。

うつ病には、寒さや気候の急変動が大いに影響します。

かく言う私自身も、毎年冬場は活動レベルが低下して困っています。

そこで今回は、「うつ病と気候」について書いてみたいと思います。

まず、この冬という季節が及ぼす影響について。

冬季に起こることの一つが、気温の低下です。

健常な方でも布団から出るのがつらい季節、

うつ病にとっては余計に苦しいものであるのは言うまでもありません。

もう一つ、冬の特徴として日照時間の短さが挙げられます。

「冬季うつ」という言葉をご存じでしょうか。

文字通り、冬になると現れるうつ病のことです。

これは、日照時間の低下により、浴びる日光の量が減ることによる

ビタミンDの生成不足が主な原因だと言われています。

実際、冬に日照時間が大きく低下する高緯度地域ほど

発症しやすいという研究結果もあるようです。

これに対し、光療法といって人工的に強い光を浴びることで

改善を図る治療法も行われています。

しかしまだまだ一般的ではないので、

やはり屋外に出て太陽の光を浴びることが有効だと言われています。

次に、気候の急変動について。

元気な方でも、低気圧が近づくと古傷が痛むといったことがあります。

うつ病でも、それと同じような調子の悪化が、

気圧や気温の低下によって、より顕著に引き起こされます。

数年前に話題になった書籍「うつヌケ」でも触れられていましたが、

自分にもよく当てはまっているので驚いたことがあります。

具体的には、冬場に低温が続いたり、

他の季節でも急に気温や気圧が低下したりすると症状が悪化しやすいようです。

もし、ご自身や身近な方が冬場にひどく落ち込んだり、

気候の急変動で体調を崩すようなことがあれば、うつ病が隠れているかもしれません。

不調が日常生活に影響を及ぼすレベルであれば、

「気候のせいだ」で済まさず、専門医の診察を受けることも考えてみてください。

今回はこの辺にいたします。

ご意見、ご質問をお待ちしております。

休職中の生活のために・自立支援医療

これまで、うつ病などで仕事を休んだり辞めたりした時の

収入を補う制度についてご紹介してきました。

今回は、医療費負担を軽減する制度についてご紹介します。

それが、自立支援医療制度というものです。

うつ病などの精神疾患で継続的に通院が必要な場合や、

その他の身体障害についても適用されます。

認定されると、診察代や薬代といった医療費について、

通常は3割の自己負担が1割に軽減されます。

また、1か月あたりの医療費に上限が設けられ、

それ以上の分は負担が要らなくなります。

申請には、主治医の診断書が必要です。

また、月額医療費の上限決定には本人の年収などが関係してきます。

詳細は、市町村の福祉担当部署に問い合わせるとよいでしょう。

また、この制度が適用されるのは対象となる障害についてのみです。

つまり、うつ病の治療には適用されますが、

風邪などほかの病気で通院した場合は通常の3割負担となります。

そして、適用される医療機関も、予め登録が必要です。

病院・薬局それぞれ1か所が原則で、たとえうつ病の治療であっても、

登録した以外の医療機関では3割負担となります。

うつ病の通院は長期にわたることが多いので、医療費の負担も大きなものになります。

この制度を活用すれば、その負担を減らすことができるので、

とても助かる制度だと言えるでしょう。

現在通院中で制度を利用していない方は、

ぜひ活用をご検討いただければと思います。

この文章が、困っておられる方のお役に立てば幸いです。

ご意見、ご感想などお待ちしております。

休職中の生活のために・障害年金

今回は障害年金についてお話しします。

年金というと、「高齢者になってから受給するもの」という

イメージが強いと思います。

それは、いくつか種類がある年金のうち、老齢年金と言われるものです。

実は年金にはそれ以外にも障害年金や遺族年金があります。

今回お話しする障害年金は、高齢者でなくとも、

現役世代でも受給することができるものです。

病気や怪我で生活や仕事に制限が生じている人が対象となります。

うつ病などの精神疾患も対象となります。

過去の初診日に遡って申請することも可能で、

現在就労しているか否かは関係ありません。

就労していても、障害のために制限があると認められれば

受給することができます。

国民年金または厚生年金加入時に初診日が含まれ、

一定期間以上症状が続いていれば、申請が可能です。

障害の程度に応じて1級~3級の等級に分かれており、

それに応じて年金額が変わってきます。

申請には医師の診断書(専用書式)や状況申立書などの書類が必要です。

しかしこの申請書類が、かなりボリュームのあるものであり、

うつ病で気力が減退している人が独力ですべてを記入するのはかなり困難です。

そのため、社労士に代筆を依頼されるケースも多いようです。

報酬として10万円程度が必要となることが多いようですが、

受給できる年金額を考えると、依頼するのも一つの手だと思います。

(私は独力で記入しましたが、知り合いの社労士さんに添削を受けました)

認定の条件や書類の記入など、手続きには煩雑な点が多いので、

まずは日本年金機構のHPを参照したり、

最寄りの年金事務所で問い合わせられるとよいでしょう。

この文章が、困っておられる方のお役に立てば幸いです。

ご意見、ご感想などお待ちしております。

休職中の生活のために・失業保険

今回は失業保険についてお話しします。

うつ病などが長引いてしまうと、

休職期間を使い果たしてしまったり、療養に専念するために退職となることもあり得ます。

そのような場合に利用できるのが失業保険です。

基本的な部分はご存じの方が多いと思うので割愛し、

今回は意外と知られていない点についてご紹介します。

まず、前回お話しした傷病手当金との関係について述べます。

傷病手当金は退職後も休職開始から1年半までに限り受給することができますが、

失業保険と同時に受給することはできません。

傷病手当金は「病気や怪我で働けない」人が対象であるのに対し、

失業保険は「働けるのに仕事がない」人を対象にしているからです。

両方を受給することはこれらの原則に矛盾していることになってしまいます。

次に「受給期間の延長」についてです。

失業保険は原則として退職後1年以内に受給を完了することとなっていますが、

病気による退職で働けない場合、受給期間を延長することができます。

働けるようになったら延長を解除して失業保険を受給することができます。

実際のケースでは、傷病手当金を受給している間は失業保険を延長しておき、

傷病手当金が終了した時点で主治医から就労可能の判定をもらい、

失業保険受給を開始するというのがお勧めです。

そうすることにより、無収入期間を避けることが可能になります。

但し、あくまで「働ける体調である」ことが原則ですので無理は禁物です。

失業保険受給のために無理をして就労可能を装うことになると本末転倒ですので、

主治医とよく相談してください。

そして、「就職困難者としての受給」があります。

うつ病などの精神疾患やその他の障害で通常の就労が困難であると判定された場合、

自己都合退職による一般受給者よりも給付日数が長くなり、給付される金額が多くなります。

また、通常は月2回の求職活動が1回に軽減されます。

障害者手帳がなくても、うつ病の場合は医師の診断書で認定されるケースもありますので、

ハローワークに問い合わせてみてください。

今回は、うつ病の方が失業保険を受給する際に知っておくと有利な点についてご紹介しました。

この文章が、困っておられる方のお役に立てば幸いです。

ご意見、ご感想などお待ちしております。