前回、職場でのストレスが変化しているということを
ご紹介しました。
具体的には、ストレス要因としての「人間関係」が
ここ10年ほどで
1位から4位に低下したというものです。
それでは、パワハラやセクハラをはじめとする
職場のハラスメントは本当に減少したのでしょうか?
厚生労働省の調査「令和3年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によると
民事上の個別労働紛争における
「いじめ・嫌がらせ」の件数の推移は下のグラフの通りです。
減っているどころか、右肩上がりで増加しています。
このことから、職場におけるハラスメントは
現在も増加の過程にあると言えるでしょう。
それでは、なぜ職場のストレス要因で
人間関係が1位から4位に下がったのか?
これは推測ですが、
職場における業務負担の変化が
影響しているのではないかと考えます。
前回ご紹介した調査では、
直近のデータとして「人間関係」に代わり、
「仕事の量」「仕事の失敗、責任の発生等」が
上位を占めていました。
それだけ、各人の業務負担が重くなり、
皆が自分の仕事をこなすことでいっぱいになってしまい、
その周囲にある人間関係にまで
注意が向かなくなったのではないかと考えます。
実際には「いじめ・嫌がらせ」の件数は
大幅に増加しているのですが、
それをストレスと感じていられないほど
目の前の仕事に苦しんでいるという
ことではないでしょうか。
だとすれば、これは非常に不健全な
状態だと言わざるを得ません。
本来なら重要な問題であるはずのハラスメントが、
業務負担増によって覆い隠されてしまっているのでは
ないでしょうか。
このように、ストレス要因としての「人間関係」が
数字上低下したことで、
職場におけるハラスメントの問題が
減少したかのように思われがちですが、
実際には著しく増加しているということを
忘れてはいけません。
私たちがはたらく職場が
健全なものであるために、
このような事実を見過ごすべきではないと
考えました。
簡単ですが、今回はこの辺にします。
ご意見やご質問など、お聞かせいただければ幸いです。