休職中の生活のために・障害年金

今回は障害年金についてお話しします。

年金というと、「高齢者になってから受給するもの」という

イメージが強いと思います。

それは、いくつか種類がある年金のうち、老齢年金と言われるものです。

実は年金にはそれ以外にも障害年金や遺族年金があります。

今回お話しする障害年金は、高齢者でなくとも、

現役世代でも受給することができるものです。

病気や怪我で生活や仕事に制限が生じている人が対象となります。

うつ病などの精神疾患も対象となります。

過去の初診日に遡って申請することも可能で、

現在就労しているか否かは関係ありません。

就労していても、障害のために制限があると認められれば

受給することができます。

国民年金または厚生年金加入時に初診日が含まれ、

一定期間以上症状が続いていれば、申請が可能です。

障害の程度に応じて1級~3級の等級に分かれており、

それに応じて年金額が変わってきます。

申請には医師の診断書(専用書式)や状況申立書などの書類が必要です。

しかしこの申請書類が、かなりボリュームのあるものであり、

うつ病で気力が減退している人が独力ですべてを記入するのはかなり困難です。

そのため、社労士に代筆を依頼されるケースも多いようです。

報酬として10万円程度が必要となることが多いようですが、

受給できる年金額を考えると、依頼するのも一つの手だと思います。

(私は独力で記入しましたが、知り合いの社労士さんに添削を受けました)

認定の条件や書類の記入など、手続きには煩雑な点が多いので、

まずは日本年金機構のHPを参照したり、

最寄りの年金事務所で問い合わせられるとよいでしょう。

この文章が、困っておられる方のお役に立てば幸いです。

ご意見、ご感想などお待ちしております。

休職中の生活のために・失業保険

今回は失業保険についてお話しします。

うつ病などが長引いてしまうと、

休職期間を使い果たしてしまったり、療養に専念するために退職となることもあり得ます。

そのような場合に利用できるのが失業保険です。

基本的な部分はご存じの方が多いと思うので割愛し、

今回は意外と知られていない点についてご紹介します。

まず、前回お話しした傷病手当金との関係について述べます。

傷病手当金は退職後も休職開始から1年半までに限り受給することができますが、

失業保険と同時に受給することはできません。

傷病手当金は「病気や怪我で働けない」人が対象であるのに対し、

失業保険は「働けるのに仕事がない」人を対象にしているからです。

両方を受給することはこれらの原則に矛盾していることになってしまいます。

次に「受給期間の延長」についてです。

失業保険は原則として退職後1年以内に受給を完了することとなっていますが、

病気による退職で働けない場合、受給期間を延長することができます。

働けるようになったら延長を解除して失業保険を受給することができます。

実際のケースでは、傷病手当金を受給している間は失業保険を延長しておき、

傷病手当金が終了した時点で主治医から就労可能の判定をもらい、

失業保険受給を開始するというのがお勧めです。

そうすることにより、無収入期間を避けることが可能になります。

但し、あくまで「働ける体調である」ことが原則ですので無理は禁物です。

失業保険受給のために無理をして就労可能を装うことになると本末転倒ですので、

主治医とよく相談してください。

そして、「就職困難者としての受給」があります。

うつ病などの精神疾患やその他の障害で通常の就労が困難であると判定された場合、

自己都合退職による一般受給者よりも給付日数が長くなり、給付される金額が多くなります。

また、通常は月2回の求職活動が1回に軽減されます。

障害者手帳がなくても、うつ病の場合は医師の診断書で認定されるケースもありますので、

ハローワークに問い合わせてみてください。

今回は、うつ病の方が失業保険を受給する際に知っておくと有利な点についてご紹介しました。

この文章が、困っておられる方のお役に立てば幸いです。

ご意見、ご感想などお待ちしております。

休職中の生活のために・傷病手当金

今回は、前回お話しした社会保障の一つ、傷病手当金についてご紹介したいと思います。

傷病手当金とは、病気や怪我で仕事を休むことになった際、

健保組合から支給される手当金のことです。

ごくおおまかに言えば、病気や怪我で三日以上休む(有休以外)ことになった場合、

四日目以降に、一日単位で手当金が支給されるというものです。

給付の目安は、月間ベースで休む前の給与の約3分の2程度です。

つまり、この制度を活用すれば、有休休暇を使い果たしても

いきなり収入がなくなるという事態を回避できるということです。

もちろん、無制限ではありません。

最長で1年半という期限があり、それを超えると支給されなくなります。

また、申請には主治医の診断書等が必要です。

詳しくは、所属しておられる健保組合にお問い合わせいただければと思います。

しかし、有休消化後の無給期間に対して、

たとえ給与の3分の2でもカバーしてもらえるのは大きな助けだと思います。

1年半という期限もありますが、それだけ休養すれば、

かなりのケースで復職可能になるのではないでしょうか。

実際、私も有給休暇を消化した後はこの制度のお世話になりました。

このおかげで、長期の療養にも経済的不安を抱くことなく、

じっくりと療養に取り組めたと思っています。

但し、これが使えるのは、会社員などのいわゆる給与生活者に限られています。

自営業者等の、国民健康保険に加入している方はこの制度を使用することはできません。

より詳しいことについては、

全国健康保険協会(協会けんぽ)のHPなどをご参照いただければと思います。

以上、傷病手当金について簡単にご紹介させていただきました。

この文章が、困っておられる方のお役に立てば幸いです。

ご意見、ご感想などお待ちしております。

休職中の経済的不安への対策

前回予告していた、休職中の経済的な不安の問題についてお話しします。

企業などにお勤めの方の場合、

うつ病などの病気で長期にわたって仕事を休むことになると、

まずは有給休暇で対応するのが通常だと思います。

そして有給休暇を使い果たすと休職になり、給与が停止されるというケースが多いでしょう。

また、休職が長引いて退職になるケースもあります。

休職して療養に専念することに踏み切れない方の多くが、

このことをご心配されていることと思います。

しかし、必ずしもいきなり無収入になるわけではありません。

下記のような制度をうまく活用すれば、

ある程度の収入を維持しながら療養することも可能です。

それでは、どのようなものがあるのか、一つずつみていきましょう。

一つ目は、「傷病手当金」です。

一定の条件を満たす場合、健保組合から休職前の給与の何割かが支給されます。

二つ目は、いわゆる失業保険です。

ご存じの通り、職場を辞めてから給付されるものですが、

退職の理由がうつ病などの病気休職であり、かつ一定の条件を満たす場合は、

通常の退職より有利な給付を受けられる場合があります。

三つ目は、障害年金です。

うつ病などの精神障害で就労が困難な場合、過去の加入状況に応じて年金が支給されます。

また、直接収入につながる制度ではありませんが、

医療費の負担を軽減する制度として「自立支援」というものもあります。

うつ病などの病気にかかる医療費が、通常の医療費負担より軽減されます。

次回からは、これらを一つずつ詳しくご紹介していきたいと思います。