休職中の経済的不安への対策

前回予告していた、休職中の経済的な不安の問題についてお話しします。

企業などにお勤めの方の場合、

うつ病などの病気で長期にわたって仕事を休むことになると、

まずは有給休暇で対応するのが通常だと思います。

そして有給休暇を使い果たすと休職になり、給与が停止されるというケースが多いでしょう。

また、休職が長引いて退職になるケースもあります。

休職して療養に専念することに踏み切れない方の多くが、

このことをご心配されていることと思います。

しかし、必ずしもいきなり無収入になるわけではありません。

下記のような制度をうまく活用すれば、

ある程度の収入を維持しながら療養することも可能です。

それでは、どのようなものがあるのか、一つずつみていきましょう。

一つ目は、「傷病手当金」です。

一定の条件を満たす場合、健保組合から休職前の給与の何割かが支給されます。

二つ目は、いわゆる失業保険です。

ご存じの通り、職場を辞めてから給付されるものですが、

退職の理由がうつ病などの病気休職であり、かつ一定の条件を満たす場合は、

通常の退職より有利な給付を受けられる場合があります。

三つ目は、障害年金です。

うつ病などの精神障害で就労が困難な場合、過去の加入状況に応じて年金が支給されます。

また、直接収入につながる制度ではありませんが、

医療費の負担を軽減する制度として「自立支援」というものもあります。

うつ病などの病気にかかる医療費が、通常の医療費負担より軽減されます。

次回からは、これらを一つずつ詳しくご紹介していきたいと思います。

休職中の過ごし方

うつ病で受診すると、仕事を休むようにとの診断が下ることも少なくありません。

今回は、休職中の過ごし方について書いてみたいと思います。

うつ病での休職は、一か月~場合によっては年単位と、長期にわたることが多いです。

多くの方にとって、このように長い間仕事を休むことは経験がないことと思われます。

その間、どのようにして過ごすか?

最もお伝えしたいことは、「まずは休むことに専念してください」ということです。

うつ病は心身のエネルギーが枯渇した状態です。

何をおいても、じっくり休養して心身のエネルギーが回復するのを待つようにしてください。

まとまった時間があるからと勉強に手を出したり、

気分転換にと旅行を計画したくなるかもしれませんが、

休職の初期は特に休養が重要です。

「何もしない」ことが今の仕事だと思って回復に努めてください。

仕事のことも忘れるようにしましょう。

貸与されているパソコンや携帯電話は職場においておき、

連絡の窓口は上司か労務担当者だけに限定しておくことがお勧めです。

ある程度回復してきたら、ドクターとも相談しながら

「できること」「やれること」を少しずつ増やすことになるかと思います。

このフェーズでおススメなのは、軽い外出や簡単な家事です。

外出は体力の回復にも役立ちますし、

復職に向けて徐々に外の世界に慣れていくリハビリにもなります。

また、家事は基本的にはやればやっただけの成果が得られます。

これは、職場で失われた自己肯定感を取り戻すのに有効です。

職場では、やってもやっても成果が出ないという状況に陥りがちです。

これは自己肯定感を失い、うつ病を悪化させる要因にもなり得ます。

しかし家事は、基本的には何かしらの成果が得られます。

たとえ料理が失敗しても、目の前には一応の食事ができるのです。

やったことが形になるという経験を通して自己肯定感を取り戻すことは、

成功体験にもなり、うつ病からの回復に役立ちます。

このように、休職中は「仕事を忘れる」「無理をしない」「自分をほめる」ことに

専念してゆっくり過ごすことがお勧めです。

とは言え、いろいろと心配なことがあるのは避けられないことです。

特に経済的な不安は多くの方に共通するお悩みでしょう。

次回は、その点についてご紹介したいと思います。

今回はこの辺にいたします。

ご意見、ご質問をお待ちしております。

メンタルクリニックのかかり方

前回はよいドクター、よいクリニックの見つけ方について書きました。

首尾よく、自分に合ったクリニックに通院できることになれば、

いよいよ治療のスタートです。

これまで述べてきた通り、治療には薬物療法や心理療法がありますが、

診察室で中心となるのは心理療法になると思います。

ドクターとの面談を通じて、健康な心を取り戻してゆくのです。

クリニックによっては、ドクターとの面談前に

インテーク(導入面談)として心理士との面談がある場合もあります。

その時に、何を話せばいいのでしょうか?

私の場合もそうでしたが、面談までは話したいことがいっぱいあっても、

いざ本番になると緊張して何から話していいかわからなくなってしまうことがあります。

特にうつ病の場合、集中力や論理的思考力も衰えていることが多いので、

うまく話すことが難しくなるものです。

そこで、あらかじめ話したいことをメモしておくことをお勧めします。

また、ドクターや心理士に言いづらいことがある場合は、書面で見せるというのも一つの方法です。

まとまった文章にする必要はありません。箇条書きで十分です。

限られた面談時間で言いたいことを伝えきれず、後悔してしまうよりは、

多少の手間をかけても、言いたいことを語りつくせるよう、書き出しておくことが役立つでしょう。

また、再診以降になると、「この〇週間、いかがでしたか?」というふうに聞かれることが多いです。1~2週間のことを一度に思い出して伝えるのは元気な人でも至難の業。

まして、うつ病で記憶力も減退しているので、

一見簡単なようでも、とても難しい質問に感じられることもあり得ます。

そういう場合に有効な手段の一つとして、日記があります。

これも本格的に書く必要はありません。

例えば手帳の余白にその日の出来事や体調を単語レベルで書き留めておくだけで十分です。

診察前日に読み返すと、

「体調の悪い日が〇日あったけど、よかった日も△日あったな」「こんな出来事が気にかかったな」

などと、期間中のことを客観的に振り返ることができます。

うつ病になってから日記を始めるのは難しいでしょうから、

普段から習慣づけておくことをお勧めします。

うつ病でなくても、定期的に自分の体調や精神状態を振り返って

客観視できる貴重な材料になります。

これらの方法を活用していただければ、

ドクターとの対話も充実し、心理療法が有効に進むのではないかと思います。

うつ病になってしまった皆さんの治療が、スムーズに進むことをお祈りしております。

今回はこの辺にいたします。

ご意見、ご質問をお待ちしております。

よいドクターの見つけ方

前回、「よいドクター」について書きました。

それでは、どうすればよいドクターに巡り合えるのでしょうか。

私見ですが、飲食店と違って口コミはあまりあてにならないと思います。

前回も書いたようにドクターとの相性が重要なのですが、

これはケースバイケースです。

投稿者の感じた相性が、そのまま自分に当てはまるとは限りません。

また、メンタルクリニックの患者さんは心が疲弊しきっていることが多いので、

投稿される口コミにも何らかのバイアスがかかっている可能性もあります。

以上のことから、口コミは妄信せずに自分の感覚を大切にするとよいでしょう。

それでは、どのようにして自分に合うドクターを見つけるのか?

実際にドクターに会う前に判断するのは難しいことですが、

一つの参考として、クリニックの雰囲気が挙げられます。

よいドクターのいるクリニックは、

待合室や電話応対の雰囲気も明るくて話しやすいことが多いです。

気になるクリニックがあれば、事前に電話で問い合わせておくのもいいでしょう。

最近は患者数の増加で初診予約が取りづらくなっているので、

あらかじめ初診の予約状況を知っておくこともできます。

そして、もう一つ大事なことは、できるだけ近所の通いやすいクリニックが望ましいということです。

うつ病になると心身のエネルギーが枯渇して外出も困難になります。

いくらよいクリニックが見つかっても、

通院に何時間もかかるようでは通い続けることが極めて難しくなります。

先ほども述べたように、最近はメンタルクリニックの初診予約が取りづらくなっています。

数か月待ちということも珍しくありません。

うつ病になってしまって疲れ切っているときにそのような状況に直面すると

ますます絶望してしまうこともあり得ます。

いざという時のために、近所のクリニックをいくつかピックアップしておくと、

少しは受診しやすくなるのではないかと思います。

自分には関係ないと思わず、転ばぬ先の杖と思って準備しておくことをお勧めします。

うつ病になってしまわないのがベストですが、

万一の時は、皆さんがよいクリニック、よいドクターに巡り合えるよう願ってやみません。

今回はこの辺にいたします。

ご意見、ご質問をお待ちしております。

よいドクターとは?

今回から、「実際にうつ病になってからのこと」というテーマで書いてみたいと思います。

実際にうつ病になるということはどういうことでしょうか。

一定の症状があればそう言えるでしょうが、
社会的に認定されるには、本人が医療機関に行って、
そこで医師から「うつ病である」と診断を下されることが必要でしょう。

つまり、クリニックに行って初めて「正式に」うつ病と認められると言えます。
その意味で、うつ病のスタートは医療機関の受診であるとも言えるのです。

そこで大切になってくるのは、よいドクターとの出会いです。
他の病気でもそうですが、心の病の場合は特に重要です。

では、どのようなドクターが「よいドクター」なのでしょうか。
ここでは下記の三点をあげたいと思います。

・自分と相性がいい

うつ病の治療には薬物療法だけでなく、心理療法というものがあります。
これは医師と患者とが会話をすることで治療を進めていくというものです。
カウンセリングとも共通します。
このように治療の過程で会話が重要になるので、
会話の相性というものがとても大切です。
話をするのも嫌な相手と診察のたびに向かい合っているのでは、
治療どころではありませんよね。

・話をよく聴いてくれる

上記の通り、治療には医師と患者との対話が重要です。
そのため、患者の話をよく聴いてくれることが望ましいです。
しっかりと時間を取って、患者の話に耳を傾けてくれるドクターに出会えれば
治療も進みやすいと思われます。
しかし、最近はどこのメンタルクリニックも患者の増加で忙しく、
ゆっくり話を聴くことが難しくなってきていますが…

・薬を出しすぎない

うつ病の治療にはお薬も用いられます。
他の病気と同様に、薬には多少なりとも副作用もありますので、
少ない薬剤で治療を進めてくれるドクターが望ましいでしょう。
また、精神科のお薬は回復が進んで減薬や断薬をする際も
慎重に進める必要があります。
その点からもシンプルな処方をしてくれることが望ましいです。

ちなみに私の経験では、
あまり話を聴いてくれないドクターほど、薬を多く出すように感じられました。
これらの条件を満たしてくれるのが、私が経験した中での「良いドクター」です。

最終的には相性のことなので一概には言えませんが、
万一、皆さんがうつ病になってしまったら、
皆さんにとって最良のドクターに巡り合えるよう願ってやみません。

今回はこの辺にいたします。
ご意見、ご質問をお待ちしております。

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うつ病は他人事ではない

前回、「働く人にとってうつ病は決して他人事ではない」ということを書きました。

今回は、その点をもう少し具体的に数字をあげてご紹介したいと思います。

厚労省の調査によると、

2020年にうつ病などで医療機関を受診した人数は約119万人だそうです。

大まかに言って、国民約100人に一人ということです。

受診していない患者さんもいるでしょうから、実際にはもっと多いと言えます。

また、生涯有病率という指標もありますが、

それによると約15人に一人が、一生のうちに一度はうつ病にかかると言われているそうです。

このことからも、うつ病は決して珍しい病気ではなく、

いつ自分がかかっても不思議ではないということが言えるでしょう。

そして、より深刻な自殺については、

ここ数年は一時期の3万人台を下回って2万人台で推移していますが、

その過半数がうつ病などの精神疾患によるものだと言われています。

仮に半分だとしても年間1万人以上が命を落としているのです。

これは、交通事故の死者数(2021年度は約2,600人)をはるかに上回っています。

また、30代以下の死因第一位が自殺であるというデータもあります。

(ちなみに40代以上は悪性新生物(いわゆるガン)だそうです)

このように、精神疾患による自殺は

働き盛りの人たちや若者たちの命を年間万単位で奪っているのです。

交通事故については職場や学校での教育が奏功して死者数は年々減少していますが、

自殺者については、上述の通り、残念ながらいまだにその何倍もの水準で高止まりしているのです。

社会に大きな影響を及ぼしているリスクとして、一刻も早く改善することが望まれます。

そのためにも、職場や学校で、交通安全教育と同様以上に、

自殺対策やストレスチェックなどのメンタルヘルス対策に注力されることが必要だと考えます。

近い将来、交通事故と同様に社会での啓発が進んで、

うつ病の患者数や自殺者数が大きく減少することを願ってやみません。

今回はこの辺にいたします。

ご意見、ご質問をお待ちしております。

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うつ病が職場に及ぼす影響

うつ病は職場にどのような影響を及ぼすでしょうか?

まず、当事者が長期休業を余儀なくされるので、

その分、周囲の人の負担が増加するということが挙げられます。

数か月~1年前後の休職ののちに復職しても、

しばらくは業務負担を軽くしたリハビリ出社となりますので、

その影響は長期にわたります。

うつ病は再発しやすい病気ですので、完全復職後も十分な注意が必要です。

また、自殺リスクも考えねばなりません。

万一、職場で自殺者が出てしまったら、

その損失は計り知れないものになることは言うまでもないでしょう。

うつ病の症状の一つに希死念慮があるということはすでに述べましたが、

これは病気の急性期だけでなく、回復期にも起こりえるので注意が必要です。

むしろ、体力や気力が回復してからのほうが

衝動的に自殺してしまいやすいということも言われています。

WHOの報告では、

2030年には社会全体に対する経済的損失はうつ病によるものが第一位になると

予測されています。

がんやHIVよりも社会に与える影響が大きくなるということです。

このように、働く人にとってうつ病は決して他人事ではありません。

自分がかからないようにするのはもちろんのこと、

職場から一人もうつ病を出さないことが重要です。

そのためには、職場全員で仕事の量や質、ストレスの状況をチェックし、

みんなが働きやすい職場にすることが必要なのです。

今回はこの辺にいたします。

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うつ病は「心の風邪」ではない

これまで、うつ病のメカニズムなどについてご紹介してきました。

それらのことから言えるのは、うつ病は心の病気であり、

決して弱さなどではないということです。

溜まったストレスなどにより、

心身のエネルギーが枯渇して脳が一時的に異常をきたしている状態なのです。

いや、異常ではなく、人に備わったリミッターが正常に作動した結果だと言えるかもしれません。

「うつ病は心の風邪」という言葉があります。

これは、ある意味では当たっています。

風邪を引いた人に、「お前が弱いから風邪を引くのだ」とは言いませんよね。

心の強弱に関係ない、れっきとした病気なのだという意味では確かにそう言えるでしょう。

しかし、別の意味では不適当であるともいえます。

風邪なら放っておいても数日で治りますが、うつ病はそうはいきません。

十分な休養に加えて、適切な治療が必要になります。

しかも、放置しておくと悪化する可能性もあります。

この意味で、「心の骨折」と表現する専門家もいます。

骨折には、休養に加えて患部の適切な固定や社会復帰に向けての

リハビリが必要になりますが、うつ病も同じだというわけです。

このように、うつ病は骨折に匹敵する重篤な病なのだということを

認識していただきたいと思います。

スポーツで怪我の予防に努めるように、

職場ではうつ病の予防に全力を尽くしていただきたいですし、

もし身近にうつ病が発生してしまったら、

円滑な社会復帰ができるよう、

周囲の人は本人のリハビリに全面的に協力していただきたいと思います。

今回はこの辺にいたします。

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うつ病になりやすいタイプ

今回は、うつ病になりやすいタイプについてお話しします。

うつ病の発生するメカニズムにはまだまだわからないことが多く、

いろいろな説が唱えられていますが、

その中の一つに、その人の性格が影響しているという考え方があります。

それは、真面目、几帳面で責任感が強い性格はうつ病になりやすいというものです。

ドイツの精神医学者テレンバッハは、このような性格を「メランコリー親和型」と名づけました。

このような人たちは職場でも秩序を重んじ、ミスなく正確に仕事をこなします。

しかし、自分を追い込んでしまうところがあり、過労に陥ったりトラブルが続いたりすると、

自分を責めてしまいます。その結果、うつ病に陥ってしまうことが多いと言われているのです。

でも、決して「困ったものだ」などと思わないでください。

これは、職場で仕事を円滑に進めるために必要な資質なのです。

考えてみてください。もし、これと正反対の性格の人ばかりが職場にいたら…

不真面目で、いい加減で無責任な人ばかりだと、

確かにその人はうつ病にはならないかもしれませんが、仕事が回っていかないですよね。

こんな部下ばかりを抱えた上司がうつ病になってしまうかもしれません。

大切なのは、このような人々にストレスが溜まらないようにすることです。

そのため、組織には、仕事の質や量を常にチェックして

ストレス過多の人がいないか注意を払うことが求められるのです。

今回はこの辺にいたします。

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うつ病の治療・オーソモレキュラー

今回はうつ病の治療について最新の療法をご紹介します。

以前にも書いたように、

うつ病の治療には薬物療法、心理療法、そして十分な休養という三本柱が有効だとされています。

それに加えて、最近注目されているのが分子栄養療法です。

これは、うつ病患者には特定の栄養素が不足していることに着目し、

その栄養素を食事だけでなくプロテインやサプリメントで補うことで症状の改善を図るというものです。

オーソモレキュラーとも呼ばれています。

具体的にうつ病で不足しているといわれるのは、

タンパク質、鉄、亜鉛、ナイアシン(ビタミンB3)、ビタミンC、ビタミンDなどです。

これらは通常の食生活でも不足していると言われており、

一度不足すると食事だけで改善することは困難です。

そのため、プロテインやサプリメントで補うのです。

まだあまり広く知られていない療法であり、取り組んでいる医療機関も少ないのが現状ですが、

確実に著効している例が多く報告されています。

「オーソモレキュラー」で検索すると、取り入れている医療機関がわかりますので、

興味のある方はぜひ調べてみてください。

今回はこの辺にいたします。

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