前回はよいドクター、よいクリニックの見つけ方について書きました。
首尾よく、自分に合ったクリニックに通院できることになれば、
いよいよ治療のスタートです。
これまで述べてきた通り、治療には薬物療法や心理療法がありますが、
診察室で中心となるのは心理療法になると思います。
ドクターとの面談を通じて、健康な心を取り戻してゆくのです。
クリニックによっては、ドクターとの面談前に
インテーク(導入面談)として心理士との面談がある場合もあります。
その時に、何を話せばいいのでしょうか?
私の場合もそうでしたが、面談までは話したいことがいっぱいあっても、
いざ本番になると緊張して何から話していいかわからなくなってしまうことがあります。
特にうつ病の場合、集中力や論理的思考力も衰えていることが多いので、
うまく話すことが難しくなるものです。
そこで、あらかじめ話したいことをメモしておくことをお勧めします。
また、ドクターや心理士に言いづらいことがある場合は、書面で見せるというのも一つの方法です。
まとまった文章にする必要はありません。箇条書きで十分です。
限られた面談時間で言いたいことを伝えきれず、後悔してしまうよりは、
多少の手間をかけても、言いたいことを語りつくせるよう、書き出しておくことが役立つでしょう。
また、再診以降になると、「この〇週間、いかがでしたか?」というふうに聞かれることが多いです。1~2週間のことを一度に思い出して伝えるのは元気な人でも至難の業。
まして、うつ病で記憶力も減退しているので、
一見簡単なようでも、とても難しい質問に感じられることもあり得ます。
そういう場合に有効な手段の一つとして、日記があります。
これも本格的に書く必要はありません。
例えば手帳の余白にその日の出来事や体調を単語レベルで書き留めておくだけで十分です。
診察前日に読み返すと、
「体調の悪い日が〇日あったけど、よかった日も△日あったな」「こんな出来事が気にかかったな」
などと、期間中のことを客観的に振り返ることができます。
うつ病になってから日記を始めるのは難しいでしょうから、
普段から習慣づけておくことをお勧めします。
うつ病でなくても、定期的に自分の体調や精神状態を振り返って
客観視できる貴重な材料になります。
これらの方法を活用していただければ、
ドクターとの対話も充実し、心理療法が有効に進むのではないかと思います。
うつ病になってしまった皆さんの治療が、スムーズに進むことをお祈りしております。
今回はこの辺にいたします。
ご意見、ご質問をお待ちしております。