うつ病で服用する薬について

うつ病になって医療機関を受診すると、

ほとんどの場合、何らかの薬を処方されることになると思います。

ただでさえ不安な中、

出された薬がどのようなものかわからないとますます心配になってしまうかもしれません。

そこで、今回はうつ病の時に処方されることが多いお薬について簡単にご紹介します。

処方されることが多い薬は、大きく三種類と言えます。

抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬です。

抗うつ薬は、うつ病治療の主役ともいえるお薬です。

脳内物質のセロトニンやノルアドレナリンに作用して、

気持ちを穏やかにさせたり、意欲を高めたりします。

抗不安薬は精神安定剤とも呼ばれます。

文字通り不安な気分や焦燥感などを和らげて心が穏やかになる作用があります。

睡眠薬は、入眠不良や中途覚醒といった睡眠障害を改善するためのお薬です。

作用によって、短時間型、長時間型などの種類があり、睡眠障害の状態に応じて使い分けられます。

自分の処方された薬がどれに該当するかは、

処方時に渡される明細書に薬の効能が書いてあるので、それによって知ることができます。

「薬漬け」になってしまうのではないかと心配される方もおられるかもしれませんが、

基本的には医師の指示に従って服用していれば大丈夫です。

また、以前にも書きましたが、よい医師ほど薬を少なめにして治療してくれることが多いです。

薬を飲むのが不安だからと言って、

自分の判断で勝手に量を減らしたり飲むのを止めたりしてしまうと、

離脱症状(薬を急に止めることによる副作用)が起こったりして危険です。

どうしても心配な場合は、医師に相談して、その指示の下で徐々に減薬するようにしましょう。

以前にも書きましたが、うつ病の治療には十分な休養と並んで、

心理療法・薬物療法が有効です。

いたずらに薬を忌避せず、適切に服薬することも治療のためには必要です。

そのうえで、カウンセリングなどの心理療法も併用するとよいでしょう。

この文章が、困っておられる方のお役に立てば幸いです。

ご意見、ご感想などお待ちしております。

うつ病と気候・冬季うつ

来週から急激に寒くなるようですね。

これまでは比較的暖かい日もありましたが、

気温の乱高下で体調に影響が出ている方も多いのではないでしょうか。

うつ病には、寒さや気候の急変動が大いに影響します。

かく言う私自身も、毎年冬場は活動レベルが低下して困っています。

そこで今回は、「うつ病と気候」について書いてみたいと思います。

まず、この冬という季節が及ぼす影響について。

冬季に起こることの一つが、気温の低下です。

健常な方でも布団から出るのがつらい季節、

うつ病にとっては余計に苦しいものであるのは言うまでもありません。

もう一つ、冬の特徴として日照時間の短さが挙げられます。

「冬季うつ」という言葉をご存じでしょうか。

文字通り、冬になると現れるうつ病のことです。

これは、日照時間の低下により、浴びる日光の量が減ることによる

ビタミンDの生成不足が主な原因だと言われています。

実際、冬に日照時間が大きく低下する高緯度地域ほど

発症しやすいという研究結果もあるようです。

これに対し、光療法といって人工的に強い光を浴びることで

改善を図る治療法も行われています。

しかしまだまだ一般的ではないので、

やはり屋外に出て太陽の光を浴びることが有効だと言われています。

次に、気候の急変動について。

元気な方でも、低気圧が近づくと古傷が痛むといったことがあります。

うつ病でも、それと同じような調子の悪化が、

気圧や気温の低下によって、より顕著に引き起こされます。

数年前に話題になった書籍「うつヌケ」でも触れられていましたが、

自分にもよく当てはまっているので驚いたことがあります。

具体的には、冬場に低温が続いたり、

他の季節でも急に気温や気圧が低下したりすると症状が悪化しやすいようです。

もし、ご自身や身近な方が冬場にひどく落ち込んだり、

気候の急変動で体調を崩すようなことがあれば、うつ病が隠れているかもしれません。

不調が日常生活に影響を及ぼすレベルであれば、

「気候のせいだ」で済まさず、専門医の診察を受けることも考えてみてください。

今回はこの辺にいたします。

ご意見、ご質問をお待ちしております。

休職中の生活のために・自立支援医療

これまで、うつ病などで仕事を休んだり辞めたりした時の

収入を補う制度についてご紹介してきました。

今回は、医療費負担を軽減する制度についてご紹介します。

それが、自立支援医療制度というものです。

うつ病などの精神疾患で継続的に通院が必要な場合や、

その他の身体障害についても適用されます。

認定されると、診察代や薬代といった医療費について、

通常は3割の自己負担が1割に軽減されます。

また、1か月あたりの医療費に上限が設けられ、

それ以上の分は負担が要らなくなります。

申請には、主治医の診断書が必要です。

また、月額医療費の上限決定には本人の年収などが関係してきます。

詳細は、市町村の福祉担当部署に問い合わせるとよいでしょう。

また、この制度が適用されるのは対象となる障害についてのみです。

つまり、うつ病の治療には適用されますが、

風邪などほかの病気で通院した場合は通常の3割負担となります。

そして、適用される医療機関も、予め登録が必要です。

病院・薬局それぞれ1か所が原則で、たとえうつ病の治療であっても、

登録した以外の医療機関では3割負担となります。

うつ病の通院は長期にわたることが多いので、医療費の負担も大きなものになります。

この制度を活用すれば、その負担を減らすことができるので、

とても助かる制度だと言えるでしょう。

現在通院中で制度を利用していない方は、

ぜひ活用をご検討いただければと思います。

この文章が、困っておられる方のお役に立てば幸いです。

ご意見、ご感想などお待ちしております。